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エクアドルへの空で鶏たちを想う


10/7に日本を発って、アトランタ経由で中米エクアドルへ向かう空の上。これから 2週間、アマゾン先住民の暮らしに触れる旅が始まります。直前まで断食をしていたせいか、食べたいものと要らないものを体が教えてくれているようです。

そんな飛行機の中での夕食。メニューは「湖南風鶏肉の炒め物」か「トンカツ」。デルタ航空でも日本からの便はこんなメニューなんだと妙に感心しつつ、ふとベジタリアンの人のことが頭をよぎります。

「この二択で、あの人だったら何を食べるんだろうか?」

もしかしたら、鶏肉の炒め物を、悲しい気持ちで除けながら肉を残して野菜だけ食べるんだろうな。そしてその人の気持ちとは関係なく残された鶏肉はプラスチックの器と一緒に捨てられるのでしょう。

と考えていたら、鶏がすごく小さな檻の中で可愛らしいヒヨコから育てられ、カゴいっぱいの大きさになるまでそこに飼われ、そして屠殺されて肉になるまでのイメージが走馬灯のように頭を流れてしまい、なぜかその屠殺されたまんまの形の鶏肉たちが機内食のゴミを回収するワゴンにつけられたポリ袋の中にどんどん投げ込まれるイメージに変わっていきました。

実際、乗客が食事を断らない限りは残ろうが間食しようが御構い無しに全部捨てることを前提として全てがデザインされ仕組みになって動いているのでしょう。ほぼ満席のキャビンを見回しながらそんな風に考えていたら、この1回のフライトでもどれだけ多くの生き物の命が捨てられる前提で育てられ、屠殺され、食事として供され、実際に捨てられていくのだろうかと思えてきて、少し切なくなりました。食べられるためならまだしも、捨てられることも前提になっている命。

なんて考えているうち実際に食事が運ばれてきました。結局私はトンカツの方を頼んだのですが、きちんと計算されデザインされたトレーの上にぴったり乗っている食事たちの前には、透明なビニール袋の中にナプキンと塩胡椒、そしてこれまたピカピカに透明なナイフ・フォーク・スプーンの3点セットがこの一回の食事とその後捨てられる意図でデザインされました!てな感じで無造作に置かれています。そのピカピカフォークを眺めていたら、このような目的のため石油が世界のどこかで、例えばノースダコタの先住民の土地を脅かしたり南米アマゾンの人々から生活の地を奪うようにして採られ、加工されて今ここに、この一度のためにあるんだなーとしみじみ思えてきてしまい。なんとも切ない気持ちになってしまったのです。そしてそのセットの袋を開けることができずに、ついでに隣の割り箸の袋も開けたくなくなっちゃって、しばしトレーを見つめていたのです。

と、そうだ!僕、今回は奥様から貸してもらった素敵な分解収納可能なマイ箸を持ってきてたんだ。ということを思い出し、狭い足元からこれまた素敵なトンボの模様の入った箸入れを取り出して感謝のうちに食事をしたのでした。豚さんありがとう。奥さん、ありがとう。

で、使ってないから、「それが使ってないことがわかれば捨てずに取っておいて次の機会に使ってくれるだろう。」そう思い、ちゃんとゴミでないことがわかるように整理してCAさんの回収を待っていたのですが、彼女のゴミ回収の様子を見るとこれはガサッと袋に入れられちゃいそう 汗)なので、「これ、使ってないですよ。」と彼女に伝えました。すると彼女は、困ったような諦めにも似た悲しげな面持ちでこう言いました「はい。ゆくゆくはリサイクルされますから。でも、ありがとう」てなわけで未使用のカトラリー&塩胡椒お手拭きセットは廃棄物としてガサッと捨てられてしまうのでした。

多分実際には開封もされず紙ゴミとプラごみが混ざった状態のそれが、しかも他のゴミと一色単にまとめられて捨てられている状況できちんとリサイクルされることはないのだろうと思います。彼女の言葉は、「リサイクルもシステムに組み込まれてどこかで誰かがそれをしているはずだから、ここではその点については考えたり対処しなくても良い」という、私たちの社会全体にも蔓延しているある種の思い込みを明瞭に語っている。そんな風に思われました。

捨てる前提で開発・デザインされ、それゆえに安価な仕入れが前提で、それが採られる場所では何らかの搾取的な現実が展開されている。こんな世界が変わっていくためには、やはりゲーム(仕組みやプロセス、システム)自体を変えていく必要があって、そのためにはゲームを突き動かしている夢が変わらなくてはいけないんだなーやっぱり。と思った次第です。そして、そんな変化のための大きなきっかけが動き出した場所に、今僕は向かっています。さてさて、どんな出会いや経験が待っているのでしょうか?またご報告します。お楽しみに!

と、ラップトップに向かっていたら、CAさんが今度はミネラルウォーターの入ったペットボトルを運んできた・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

そんな、エクアドルで先住民から学ぶ旅、色々な気づきや学びをシェアする会をProActiveIsts’ Place でも持つ予定です。ご興味のある方、ぜひお越しください!

http://24mskgch.wixsite.com/proactiveist/10-25


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